その1-美立ロコモ体操の総論

今月から12回に分けて、これまで指導したいろいろな方々からの質問と回答を紹介します。
この質疑を読んで、改めて、ご自分が「へー」と思った質問回答を3つ挙げて、どこが「へー」だったのか、最終回までに書いてください。
そして、課題として「新しい質問を1つ以上」作ってください。
提出方法は最終回にお知らせするので、忘れないようにしてください。

いままでの講習会では、仲間の感想を聞いて、意見を述べて、いいディスカッションができました。
新しい質問も増えました、毎年増やしていいものを作っていきたいと思います。

美立ロコモ体操の総論

Q1:指導者研修を受けてからだいぶ時がたちました。スクワット、片足立ち、肘まる体操、八段錦、腰痛体操を改めて教えてください、全体的な流れとポイントを教えてください。

3つのSをまずやりましょう。いいアライメントのスクワットはなかなかわかってもらえないものです。カベ体操をすると身体の感覚で気づきが生まれます。ああそうか、そうだったかという思いを大切にしましょう。いつも座っている椅子から(トイレの便器から)尻を上げるスクワットも教えて下さい。
ストレッチも椅子でできるように工夫しました。股関節を中心に背椎と下肢をつなぐ筋肉を意識してストレッチすると、いろいろよいことが待っているから毎日やるようにと指導してください。
肘まる体操で背骨を意識して動かす大切さを伝えてください。
余った時間で工夫して自分流の体操を指導してください。1つの提案として八段錦を薦めています。たくさんの気功の体操の中から選ばれた8種類の体操、八段錦は3つのSが含まれています。この8つのエクササイズを繰り返していきます。教えやすい、覚えやすいと思います。急げば5分で終わりますが、ゆっくり繰り返すと30分にもなります。レッスンの時間に応じて調整できます。覚えて自分でできるようにといって毎回やってもらうといいでしょう。これをいつも一緒にやることで流れとして芯ができます。

Q2:運動のマンネリ化があります。教わった以外の腰痛、膝痛の運動(筋トレ)を教えていただきたいです。

美立健康体操の基本である3つのS、つまりスクワット、ストレッチ(真向法)、背骨ほぐし(肘まる体操、腹ばい体操など)は基本の基で飽きることはないと自分では思っています。すべてが含まれている八段錦もやっていると新たな発見が生まれてきます。かといって、同じことだけやっていると思ったり、思われたりしていると、お互いにストレスなので昔からの言葉である不易流行という言葉を使っています。
不易とは変わらないもの、つまり基本の3Sですね。これは必ずやってください。そうするとかなりの時間を占めてしまうと思います。
流行は、はやりのものというか、今回のテーマです。毎回、体操前に今回のお話といって、短い時間で身体について説明するといいでしょう。たとえば、腰痛体操、膝痛体操をするときは、骨や関節の構造と機能を解説してあげるといいと思います。
新しいスクワットで、おすすめは前屈脱力して行うこんにゃく体操や、大またでスクワットの構えをして小刻みに腰を上下して行うさざ波スクワットなどがあります。
片足立ちのトレーニングの変法は相撲の四股はどうでしょうか。手を机や椅子において行います。
いいアライメントの膝の曲げ方を教えると膝痛は治りますし、全身を動かす腹ばい体操、体幹トレーニングで腰痛はよくなると思います。
痛みがある人、弱い人、下手な人、頑張る人、病気を抱えている人については特に注意が必要です。別に項を設け説明します。

Q3:やってはいけない患者はいるのでしょうか

相手を見て、痛くないように行うならやってはいけない患者はいないと思います。急性外傷、炎症の強いもので痛みがある場合は痛くない工夫をして行うことになりますが、多く場合は痛いから適応外となるでしょう。そのときは、患側を使わない運動を考えてあげましょう。

Q4: 可動域制限があっても体操をやらせますか

まず左右差があるのか調べましょう。痛くてできないときは原因を調べましょう。慢性の硬い人なら、痛くない範囲でやってもらうように指導します。継続は力です。続けると可動域は改善してきます。自宅でもどこでも続けるよう励まします。

Q5:左右差がある場合、動きづらい方をより丁寧に多く繰り返すことで左右差が縮まることは期待できますか?

これがおもしろいのですが、やりやすいほうを繰り返して行うのが良いと先人たちは言っています。やってみてください。

Q6:疾患がある方が運動する場合の注意点は?

生徒さんから話をよく聞くことでしょう。生徒さんとの会話の中で、本人に病識があるか判断して指導しましょう。内科疾患、整形外科疾患、婦人科疾患いろいろあると思います。各主治医からの意見を聞いているか確かめましょう。そして、注意することを把握しておくことが大切だと思います。しかし、トレーナーがいちいち聞くというのは現実的ではないので、生徒さんに聞いてもらって、注意点を報告してもらいましょう。
ただ、運動しようとして来ている人を対象とするわけですから、それほど重症な人はいないと考えていいと思います。やってみて、痛いことはしない、つらいことをしないのが原則です。スクワットで痛いという人でも、壁のコーナースクワットでアライメントよく行うなら、痛くない人がほとんどです。スクワットに抵抗があり、壁のスクワットで痛がる人でも、浅い角度なら痛くないことが多いと経験しています。フォームと可動域のチェックをして痛く無くできることを探していきましょう。 

Q7:最近股関節の人工関節の方や、ひざにボルトが入っている方が増えてきました。注意することなどありますか。

手術後の注意をしっかりと聞いているか、どんな肢位をとってはいけないか、やってはいけない動作とかを確認しましょう。答えられない人には手術した医師に聞いてくるよう指導しましょう。普通の基本動作は大丈夫のはずですが、痛いこと怖いことをしないこと、だんだんに。

Q8:運動を回避する場合の判断基準は?

痛みがコントロールできない場合やめてもらいましょう。発熱時はもちろん、疲労の強いときもやめてもらいましょう。
痛いこと、つらいことを我慢しないという原則を教えましょう。痛いのはなぜ?今日はなぜこんなにつらいの?と思ったら、頑張るのではなく、原因を考えることが大切です。
そして「やめる勇気を持つ」これが大切だと思います。やりたいけどちょっと無理かなと思いながらも、やってしまう人がいます。今止めたらみんなに迷惑がかかると無理をして続けて返って迷惑をかけることがあります。大人の判断で止めることが皆のためだと理解しましょう。
指導者はやめる勇気を持つことを理解してもらいましょう。  

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